2026年1月2日(金)、第102回箱根駅伝の往路が実施された。朝8時の号砲に合わせ早起きする気満々で前夜目覚まし時計をセットした自分だが、深夜に実施した90分ジョグの祟(タタ)りにより、翌朝堂々の寝坊。起床時すでにレースは2区の序盤に進んでいた。
レースは、大会前から全国紙で注目されていた国学院大、中央大、早稲田大が予想通り序盤を支配していたが、前回王者の青山学院は1区の思わぬハイペースで出遅れた。一方、留学生ヴィクター・キムタイ選手の区間新となる力走により、伏兵城西大学が戸塚中継所を首位で通過するという予想外の展開にレースは沸いた。
その後、3区~4区にかけて目まぐるしい順位変動があり、平成の常勝軍団駒澤大学が徐々に首位奪還の射程圏内に順位を上げる中、中央と早稲田は前半のリードを着実に守り、序盤話題を作った城西と全日本駅伝の覇者国学院も、復路に希望をつなぐ力走を続けた。
レースが動いたのは、5区である。トップと1分12秒差でタスキを受けた早稲田の工藤慎作選手は5区のスペシャリスト。箱根山中での首位奪還が期待される。
一方、ディフェンディングチャンピオンの青山学院平松享祐選手が、主将黒田朝日選手へ襷を繋いだのは、トップ中央が小田原を発ってから3分25秒後。名将原晋監督の大会前のインタビューでのコメント「2分の差なら黒田による逆転が可能」を考慮すると、黒田選手の背負ったタイム差が箱根山中で完全に縮まるのは現実的ではないように思われた。しかしドラマは起こるのである・・・
箱根の5区は、最初の5キロはゆるやかな上りで始まり、その後箱根湯本駅を過ぎたあたりから、本格的な山登りが始まると言われている。早稲田の5区、山登りのスペシャリスト工藤慎作選手が、トップ中央大の柴田大地選手をとらえたのは9.79㌔付近。工藤選手は並走を許すことなく、その後着実にリードを広げ、解説の早稲田大OB渡辺康幸さんが「解説している11年間で5区で母校が首位に立つのは初めてだ」と感動に声を詰まらせた。この時後方では、青山学院の黒田朝日選手が、工藤選手をさらに上回るハイペースで猛追を始めていたことは知らずに・・・
その後テレビカメラは、大会屈伸の応援スポット小涌園前を後方の選手たちが通過する様子を順に紹介し、レースはしばらく落ち着いたように見られた。
動きがあったのは15㌔過ぎである。トップ早稲田を写す1号車へマイクが渡った際、初めてレポーターが、長い直線で2位黒田選手の姿が視界に入ったことへ言及した。そして残り4.8㌔、芦之湯の下り、給水ポイントが始まる手前、ついに追走する黒田朝日選手の姿をカメラが初めて捉えた!先頭との差は15秒。国道1号線最高点の通過後に、黒田選手が工藤選手を捉えることが現実味を帯びてきた。
残り3㌔、リードする工藤選手が歯を食いしばり黒田選手の猛追を凌ぐ。しかし残り1.55㌔(19.25㌔地点)で遂に力尽き首位の座を明け渡すこととなった。
終われば、新記録による青山学院大の往路優勝。黒田朝日選手は、前人未到の1時間7分17秒で区間新記録を更新した。その18秒後、早稲田の工藤慎作選手も、過去の区間記録に迫る1時間9分台の成績でフィニッシュした。
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さて、今年のテレビ放映でいくつか私の関心を引いたことがあるので述べる。
一つは女性のレポーターの活躍だ。随所で女性レポーターによるレポートが聞かれて時代を感じた。
またゲストコメンテーターの篠原倖太朗選手も印象的だった。コメントがわかりやすく爽やかで気の利いた語り口が印象的だった。スポーツ選手は必ずしも解説が得意な人ばかりではない。しかし篠原選手の話し方は聞きやすく好感度が高かった。彼は私の住まいのある千葉県は山武市の出身。私がスイカロードレースを走る富里市の高校を卒業しており常々親近感を覚えていた。元日にニューイヤー駅伝を走り疲労はさこそと察するが、温泉卓球で一汗かいたくらいのフレッシュな様子でコメントをしていた。プロアスリートの回復力の速さに感嘆する。その篠原選手が「戸塚の壁」についてコメントを求められ「手で這って登りたいくらいキツい」という表現で斜度の急さを描写していた。解説の瀬古利彦さんが珍しく共感のコメントを添えていたところ見ると、「手で這って登りたいくらいキツい」という表現自体がエース区間を走った猛者達の間で語り継がれる常套句(cliche)なのだろうと、今思えば想像がつくが、それを篠原選手は、滑らかな口調で淀みなく話すので、話し手篠原選手自身のもともとの言葉遣いの流暢さと自然に感じられた。今後実業団選手として成績を残して引退したら、解説者にいいのではと個人的に思った。
以上、第102回箱根駅伝:レース所感でした。
明朝の復路は、寝坊しないで観たいと思う。2位早稲田は序盤に猛追し首位青山学院との差を一気に詰められるか?はたまた6区に驚愕の下りのスペシャリストを例年擁する青山学院が、さらにリードを広げて独走態勢に入るのか?トップから3分以内に居る中央、国学院、城西は、トップ争いに絡むことはできるのか?シード権争いは?見どころは絶えない。まる。
